第1章 神様と仲良くなるために
フライパンに溶き卵を流しながら今後について考え始める。
ここへ来て一週間と少し、紙様と仲良くなるどころかより人間嫌いが悪化したようにしか思えない。
ゴワス様に近寄ると紙様の睨みが突き刺さるし、ザマス様に話しかけようとすれば無視を決め込まれ。あとは話しかけてきたと思えば、人間がいかに卑しく愚かかと熱弁が始まる。もう完全なるパワハラだ。訴えたら勝てるのではないだろうか?
「おい、おい!!」
「にゃ!?」
「焦げてるぞ」
言われたとおりに卵を見ると案の定焦げていた。
「馬鹿。その食糧無駄にするなよ」
「わかってますよ」
………
「紙様、一緒に神チューブ見ませんか?」
「煩いよるな。私はそんなものは見ない」
同じものを見て紙様と仲良くなろう作戦失敗。
「ねえ紙様、紙様は何故この宇宙の界王神になったんですか?」
「知能の低い人間如きに言ったところで理解できないだろう」
紙様のゴワスへの思いを知ろう作戦失敗。
「ねえ紙様、神様はどうやって生まれてくるんですか?」
「おい触るな汚れるだろう!」
何をどう聞いても返答はよろしくないもので、もう紙様とは仲良くなれないとすらおもう。
今日も今日とて紙様の嫌がらせである読めない神の字を頼りに本を探す。
「あれ、本の位置かわってる?まさか……紙様………だな。絶対そう」
子供じみた嫌がらせに溜息を溢した時だった、書斎に落ち着いた声が響く。
「おや、どうしましたか?」
「あ、いえ、少し考え事を」
「何かお困りごとがありましたら、遠慮せずにおっしゃってくださいね」
ニコリと微笑まれ、大神官様につい弱音を溢してしまうと彼は苦笑しながら言った。
「元からどうにかなるとは思っていません。最悪な事態にならなければ、穏便に済ませれればいいと思ったまでのことです。だめでもともと仕方がない」
仕方がない。声には出さず口の中で反芻する。
「それはいささか身勝手ではないでしょうか」
「ほお、何故そう思いますか?」
「だって誰かの心を弄んでその人がどう転ぶのかを見物してるってことでしょ」
「ではあなたが彼が変わらないと言いたいのでしょうか?」