第3章 壊れた幸せ
何の手がかりもないまま一週間が過ぎ去った。
少し休もうとスマホを見ていると、ふと後ろに気配がして振り向くと、胸あたりに衝撃を感じ、ゆっくり確認するとぐっと腕が体に突き刺さっていてそいつの顔を見る。
「ザマス」
目の前にいたのは、悟空の偽物でニヤニヤと悪い笑みを浮かべている。
「ーーっ」
ぐっと抜かれた腕の痛みに立っていられず体が後ろに倒れ込む。
「私は、悟空ブラックだ」
そんな捨てセリフを吐いて行く。
いや、悟空ブラックってほぼ悟空じゃん。もう少し別の名前があったんじゃないの?てかだっっさ!ネーミングセンス無さすぎ。
これ誰かが見たら大騒ぎになるんだろうなあ。
とかどうでもいいことを考えてしまう。
そういえば、ウチと一緒に行動してた奴、ドラゴンボールの界王神に似てたなあ。あいつと会ったのは確か、ウチに新人の教育を任された時なんだよな。ん?ちょっと待って!
…………似すぎじゃねえ!!?
あ、なんか芋蔓式に思い出してきたかもー、それになんかビルスとウィスに……
その意識は闇に落ちて行った。
「……さん………天月さん!!」
目を開くと体が暖かな光に包み込まれている。目の前には、第7宇宙の界王神がいて、目を瞬かせた。
「本当にいたとは」
界王神は今にも泣きそうな顔をしていて少し気まずい。
「間に合って本当によかった」
喉から振り絞る声に逃れるために起き上がる。
「ザマスは」
今この界王神に構っている場合ではないのだ。
立ちあがろうとすると界王神が止めてくる。界王神の側近はまだ治療を継続していた。
「まだだめです。大人しくしていてください。まだ傷が塞がっていないんですから」
ウチは彼の腕を引いて抱きしめる。
「なななっ、天月さん?」
抱きしめ返そうと腕を回した瞬間、界王神の腹部に拳を叩き込んで側近に押し付けた。
「…………天月.…さん」