第3章 壊れた幸せ
私は界王神となることで、より一層に神としての務めをまっとうできると信じていた。この力を世界のために発揮できると。ゴワス様のもとへ行けば、。そう思っていた。だがいざ行って見たものは、人間の卑しさと愚かさだった。
何故ゴワス様は私の考えを否定するのだろうか、私には到底理解できない。
ゴワス様と何度も正義についての問答を繰り返したが、答えは見えない。
それどころか、より人間への憎しみが増大していくのみだった。
憎しみが湧き上がる。今にもパンクしそうで、胸に手を当て心を落ち着かせた。
ババリ星でのあの反吐が出るような人間どもの永遠と繰り返される、低レベルな争い。
あんな奴らなどこの美しい宇宙を汚すゴミではないか、今すぐ排除するべきで、今すぐ人間というゴミは排除するべきなのだ。私ならばそれができる。破壊するのだ私が!
「紙様………紙様、紙様」
私は我に帰り、声のした方へ向くと、心配そうにこちらを見る天月がいた。
この人間を見た瞬間、胸の中に渦巻いていた怒りが瞬時に霧散する。
「おい、遅いぞ!」
「すみません」
頭を落とし項垂れる天月の頭に、軽く拳を打ちつける。
「さっさとお茶にするぞ」
「はい」
皆にお茶を入れ終わり、天月の横へと腰を落とす。美味しそうに私が入れたお茶を飲むのを見るだけで、幸せを感じ心が暖かくなる。
「おい、天月」
「はい?」
就寝の前に話をしようとするが、言葉につっかえる。私はよく最近訳のわからない感情に押しつぶされることがあった。
近くにいると鼓動が早鐘を打ち、かといって目の届くところにいなければ、不安に苛まれてしまう。私は病気にでもなってしまったのだろうか。
「………あのー、大丈夫ですか?」
近い顔に思わず強く押し飛ばしてしまい焦るが、どうやら怪我はないようでホっとした。
「すまない」
「最近紙様変ですよ?」
「いいから早く寝るぞ」
「はい……わかりました。お休みなさい」