第3章 壊れた幸せ
神が神に祈るとは、なんと情けなきことか。
「ザマスよ、雑念があるな」
「…………気のせいでは?いつもの茶葉です」
「私の気のせい………だったかな……?」
「はい………気のせいですよ」
もう彼の瞳には、あの澄んだ輝きは失われてしまった。
この界王神界に落ちてきた人間よ。
どうかこんな勝手な神である私を許せ。
私はザマスが可愛く思えて仕方がないのだ。できるのならば何事もなく、ザマスが立派な界王神となる日を見たい。きっと私のこの考えは、神としてあってはならないのかもしれない。ザマスを神人の故郷へ帰すべきなのかもしれない。だが私にはそんな勇気はなかった。
人間よ、天月よ、こんな哀れな私を…………許してはくれないか。
天月さんのいる方を見ると、大きな木の側にすわりこみ、もう2人の人間と話をしている。その顔は穏やかで微笑ましい。何を話しているのかはここからではわからないが、本当に楽しそうで、こんな平和な日々が永遠に続けば良いと思ってやまない。
「ザマスよ」
「はい?」
「こんな穏やかな日々が続くといいな」
「……はい」