第5章 加速、そして……
〔春千夜side5〕
頬を撫でる指を、少しずつ下へズラしていく。
「もちろんそれだけじゃねぇけど、体は目当てじゃないなんて、綺麗事を俺は言うつもりはねぇ」
唇を親指でなぞる。
「まぁ、それでお前が俺を嫌になったとしても、もう俺はお前を諦めるつもりもねぇし、離すつもりもねぇけど」
さっさと自分の気持ちに気づけ。
今すぐ、俺に堕ちて来い。
「俺が他の女と話すだけで泣いたのは、何で?」
そのまま首筋を撫でて、鎖骨へ滑らせると、の体がピクリと震えた。
「……分かんなぃ……けど、春千夜が、他の子に……笑いかけるのは、嫌……」
目を逸らし、困ったような顔で小さく呟く。
「それは、何で?」
徐々にゆっくりじっくり攻めて、ジリジリ逃げ場を奪って行く。
上半身だけに覆い被さり、顔が近づく。
「……私だけが……いいっ……他の子は、見ないで……」
「最初から、お前だけだっつってんだろ」
目が潤み始め、顔が段々赤くなる。
普段見れない、の可愛い素の姿が目の前にある。
「お前の気持ちが決まったら、俺はもう我慢しねぇから、覚悟決めて答えろよ」
「……好きっ……春千夜っ……好き……」
やっとだ。
やっと、手に入った。
浮かれてしまっている自分を心の中で笑いながら、俺はにキスをした。