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君中毒【東リべ夢】〘三途春千夜夢〙

第5章 加速、そして……




二人で手を繋いで家路に着く。

キスをして、抱き合って眠って。

恋人じゃないのに、恋人みたいな事をする。

「いいっつってんだろ」

「ダメだよ、ちゃんと手当てしなきゃ。バイ菌入ったら大変なんだから」

お風呂から上がった春千夜を、無理やりソファーに座らせて、小さいけど傷口を手当てする。

不貞腐れた顔で嫌そうにしているのに、大人しくしてくれる春千夜は、本当に素直だと思う。

手当てが終わり、二人で映画を見る。

春千夜の股の間に座らされて、落ち着かないけど、手をお腹に回されていて、身動きが取れない。

「春っ……見たかったんじゃっ……ちょっ……」

「お前は気にせず映画見てろよ」

見れるわけがない。

耳から首筋へキスが降り注ぐ中、どうやったら集中出来るのか教えて欲しいものだ。

首に強めに吸い付いた春千夜の唇が、後ろに移動する。

「ぃたっ……」

唇がうなじに差し掛かった瞬間、噛まれたみたいでそこがヒリヒリ痛む。

「痛ぃなぁ……もぉ……噛まないでよ……」

「ってぇっ!」

春千夜に凭れ掛かり、顔だけそちらに向けて春千夜の首に噛み付いた。

「凶暴な女」

「お互い様。それに、春千夜はその凶暴女が好きなんでしょ?」

言って笑うと「減らねぇ口だな」と唇が塞がれた。

その優しさに、目を閉じる。

この関係は一体何なんだろう。

少しでも、この曖昧で不安定な関係に、ちゃんとした名前が付く日が来るのだろうか。

翌日、私は体育の授業に出ていた。

運動神経は悪くないと思うけど、どうも走るのは苦手だ。

各々、ちゃんと走る者もいれば、私みたいにダラダラ走る者と様々だ。

「相変わらず走る時はダルそうだな、お前」

「場地か。ポニテ、お揃いだね」

髪を束ねてポニーテールにして、同じ髪型で二人して並んで走る。

「お前、今日はあんまその髪型しねぇ方がいいんじゃね?」

「ん? 何で?」

「……気づいてねぇのかよ。なかなかの量のキスマと、噛み跡付いてんぞ。三途か?」

多少はと思ってはいたけど、まさかそこまで目立つとは予想外だった。

「アイツの場合は、ワザとって可能性のが多いか。完全に男避けだな。監禁されたって事は一緒に住んでんだろ? ついにくっついたのかよ」

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