第4章 それでも傍に
男子禁制の寮に、当たり前みたいに入って行く春千夜。
警備員さんをもスルーする春千夜に、私は引っ張られるようについて行く。
「部屋、何処だ?」
私の部屋に向かい、またしても当たり前みたいに入って行く。
「適当に荷物纏めろ」
「は?」
無駄にテキパキする春千夜に感化され、私は言われるがままに荷物を軽く纏める。
彼の意図が分からず、荷物を持った春千夜にまた手を引かれて寮を出た。
外泊届けを出していた春千夜を見て、何となく寮には数日帰らないんだろうなと察した。
「何処行くの?」
「俺んち」
「どーして?」
「あ? 監禁する」
何故監禁なのか。
学校は行かせて欲しいなとか思いながら、少し楽しみな気もしていたりする。
「そっか」
そして、その日から私は春千夜の家でお世話になる事になった。
監禁と言った割に、学校には行かせてもらえるらしい。
「三途は元々だが、お前もだいぶ変わってんな。普通、監禁て言われたら逃げようとしたり、怯えたりすんだろ」
「俺が春千夜ぶっ飛ばしてやろうか?」
呆れたように言うドラケンと、たい焼きを食べながら物騒な事を言う万次郎に挟まれながら、屋上のベンチに座って私は考える。
そりゃぁ、私だって見ず知らずの人にされたら怖いだろうし、逃げるだろうけど、相手は春千夜だし。
乱暴だし危うい彼は、確かに危険人物かもだけど、基本優しいから、今のところ特に危機を感じる事はない。
「まぁ、何かあった時は、その時に考えるよ」
「お前がいいなら別にいいけどよ」
見守って、何かあれば守ってくれる彼等には、本当に感謝しないといけないな。
この学校に来て、彼等に会えてよかったんだと思える。
「万次郎もドラケンもほんといい人だよね……」
「よぉー。そういや、お前三途に監禁されてんだって?」
「えっ!? それ、ヤバくないスかっ!? さん、大丈夫っスかっ!?」
「うん、この通り学校にも来れてるし、何だかんだ自由だし、元気ですよ。心配ありがとう」
楽しそうに笑う場地と、不思議そうな顔で首を傾げる千冬君に、私は笑ってみせる。
「あ、そろそろ委員会行かなきゃ。みんな、じゃーね」
みんなに別れを告げて、私は生徒会室に向かう。