第2章 可愛さ余り過ぎると、憎さなくなる?
それに、好きでもない男を惹き付けても、お互いに良くはないわけで。
私にもいつか、本気になれる人が現れるんだろうか。
「ねぇ、ドラケンは確か彼女いたよね?」
「あー、まー……」
「惹かれ合うって、どういう感じ?」
空を見上げて、ドラケンはうーんと唸る。
「言葉にすんのむじぃわ。まぁ、言葉に出来たところで、そういうのは当人が感じねぇとな」
そういうものなのか。難しい問題だ。
「でも、どれだけ惹かれ合って一緒になっても、愛人と子供作って家族不幸にしてちゃ、意味ないよ」
何も考えずにただ呟いた言葉は、自分にしか聞こえないはずだったのに、春千夜と目が合う。
何か言いたげだけど、私は微笑んでそれを無視する。
昼休みが終わり、午後の授業が始まる。
場地と同じクラスの私は、場地と席も近い。ただ、授業中の場地はちょっと様子がおかしい。
瓶底メガネに前髪を七三で分けて、後ろで長い髪を束ねている。普段の柄の悪さは何処にもなくて、真面目くんそのものだ。
何が凄いかって、自信満々に手を挙げて、全てを間違える。
これを愛おしく思わない人がいるのだろうか。
「、今のの何が違うんだ」
「根本かな」
「こんぽん? 何だそりゃ、食いもんか?」
バカ過ぎて本当に可愛い。
「今度、みんなで勉強会しようか」
「おー、それいいな」
授業中だと言うのに、自由だ。お喋りも程々に、私は授業に戻る。
午後の授業も平和に終わり、私は帰る準備をする。
「さん、呼ばれてるよ?」
「え?」
クラスメイトの女子に言われて廊下の方を見ると、知らない男子生徒がいた。
またか、と誰にも分からないため息を吐く。
女子にお礼を言って、その人に近寄る。
「ちょっと、いいかな?」
「あ、はい」
私もさすがにこの雰囲気に、彼の目的が何かという事に気づかないわけはない。
よくある事というのもあるけど、私はこの時間があまり好きじゃない。
校舎裏。告白場所としては、ベタな場所。
「俺、さんの事、いいなぁって思ってて……その、俺と付き合ってみない?」
告白としてはどうなんだと言いたくなる。彼は自信があるのかないのかよく分からない。