第6章 侍女×宰相
待ってて欲しい…?
シェリーはぽかんとしてしまう。
「まさか、貴女は最後まで私の話を聞いていなかったのですか!?」
「えっ、う、嘘っ」
「今来ている縁談を全て断って精算したら、ちゃんと貴女にプロポーズするとお伝えしました」
「……プロポーズ?」
知らない、覚えていない。
それどころか、あの日はどうやって帰ったかすら記憶にないのだから。
「す、すみません…。あの時ショックすぎて…耳に届いていませんでした…」
「な、なんと。…それで?その翌日から他の男と浮気ですか」
「浮気なんてしていません!」
なんでそんなに話が飛躍するのかわからなかった。
それなのに、ジーンは悲しそうにシェリーを見つめる。
「あの日の次の日はお休みでしたね。そしてその次の日には、貴女の石鹸の香りがいつもと違いました。それに、貴女のナカが開発された形跡がありました」
「なっ…!」
それは誤解です!と言いたかったが、あながち誤解ではない。
ベタベタのローションを落とすため、専用の石鹸を使った。
それに、例のオモチャをしっかり堪能してしまったのだ。
まさかジーンがそんなことに気づいているとは夢にも思わなかった。
「黙るということは…やはり…」
「ち、違います!」
「じゃぁ何だと言うのです」
再び訪れる沈黙。
これはもう…白状するしかない…?
「シェリー…私のことは遊びだったのですか…」
「違います! い、言います! オモチャです! ジーン様がシてくれないから、オモチャで、その…中を…してました!!」
かぁぁっと顔が赤くなる。
もしかしたら軽蔑されるかもしれない。
それでも浮気を疑われる方がもっといやだった。
「オモチャ…?」
「は、はい…」
「それは今どこに?」
「わ、私の部屋です」
「そうですか。なら確認が必要ですね。行きましょう」
驚くシェリーをよそに、ジーンはシェリーの手を引くと女子寮へと向かい始める。