第6章 侍女×宰相
「も、申し訳ございません!!」
私のばかばかばかー!!
割れたティーカップを目にして、ひたすら謝る。
あれは確か…何だったか忘れたが、何かの記念にと贈られた高価なティーセットだ。
侍女の自分には一生働いても返せない程の価値があるだろう。
「大丈夫ですか? どこか怪我していませんか?」
それなのにティーカップに目もくれず心配してくれるジーンはとても優しい。
そしてその優しさでまた泣きそうになる。
「わ、私は大丈夫…ですっ」
ごめんなさい!
確かにわざと転ぼうとしてました!
でも、ティーカップは割らないようにちゃんと掴んでいるつもりでしたし…
って、ちがう!そんな言い訳してどうするの!
「シェリー…!足に紅茶がかかってますよ!」
「えっ、あ」
熱々の紅茶だったが、それが足にかかったことに気づかない程シェリーは焦っていた。
「いけません! 痕が残ったら…」
「きゃぁっ!」
シェリーはお姫様抱っこをされ、ソファへと運ばれる。
宰相は事務仕事ばかりなのに力があるなんて…!とシェリーは感動しそうになったが、慌てて意識を取り戻す。
「見せてください」
「ジーン様…!」
給仕服のスカートがめくられる。
ジーンは怪我が無いか確かめるようにシェリーの足を撫ではじめていた。
な、何この展開は!
急すぎるけど…嬉しい…!
「ジーン様…お止めくださ…」
危うくもっと触って!と言いそうになったが、それはこのストーリー展開が許してくれなかった。
その滑らかな手のひらがエロティックで、シェリーはドキドキしてしまう。
胸がキュンとして、このままだと醜い欲が溢れそうだ。
そろそろ解放して欲しい。
そう思った時――
「ん? やけに良い香りがしますね」
シェリーはぐいっと足を開かれていた。