第5章 治療師×騎士団長
小さな火が、徐々に大きくなる。
どうやら団長が火を起こしてくれたらしい。
しかし、狭い小屋とはいえ、空気は冷えきったままだ。
「シェリー、しっかりしろ。そのままでは冷えきって命に関わるぞ!」
団長に頬をペチペチと叩かれる。
と、同時に理解した。
そう、濡れた服は体温を奪われる。
つまり、この後の展開はひとつだ。
「団長…服…脱がして…くだ…」
「あぁ、わかっている! だから意識をしっかり保つんだ」
横になったままぼんやりしつつも、団長を見上げる。
あぁ…想像以上に逞しい…
燃えるような赤い髪。
心配そうにシェリーを見つめる灰色の瞳。
そしてほのかに日焼けした肌は、筋肉隆々としていた。
団長は既に服を脱ぎ裸になっていて、目の前でぷらんと揺れる男根が目に付いた。
「まだ小さいのに…おっきい…」
「…シェリー!? しっかりしろ!」
あまりの過酷な現状に、シェリーは意識を手放してしまっていた―――
***
パチパチと薪が爆ぜる音がする。
なんだか温かいと思って目を覚ますと、すぐ耳元で声がした。
「気がついたか」
バリトンボイスのその声にドキッとしたが、もっとドキドキする状況になっていた。
体育座りしたシェリーは裸のまま、同じく裸の団長に後ろから抱きしめられていたのだ。
「だ、団長!?」
「水は飲めるか?」
「あっ、はい…」
差し出されたボトルには、少し温められたお湯が入っていた。
乾いた身体が命を吹き返すようだった。
「非常食もある。もし、お腹が空くようなら食べるといい」
またしても耳元で囁かれ、シェリーはゾクゾクしてしまう。
私、このまま団長に…?
あぁ、でもそんなに展開が早く進むかしら…
こんな非常事態に私ってば何を考えているのよ…!