第4章 孤児×王子
いくらなんでも相手は病人でしょう?
そんな方のお相手なんてごめんだ。
そう思っていたのに、口が勝手に動いてしまう。
「まぁ、私にギルバート殿下が救えるのなら、喜んでこの身を提げます」
「…シェリーっ。貴女は立派な聖女だわ!」
三人の聖女は感激したようで、目元を指でぬぐう。
どうやらコレはもう決められたストーリーで変えることはできないようだった……。
「さぁ、まずは着替えましょう」
そうと決まれば聖女達の行動は早かった。
あっという間にシェリーの服をはぎ取り、浄化魔法をかける。
ボサボサの髪はサラサラになり、泥だらけだった指はツヤツヤになっていた。
新しく渡された服…それは服とは呼べない布一枚で…
「この白い布は特別で…」
とかなんとか聖女が言っていたが、白い布を身体に巻き、胸の下を金縄で結んだだけの簡単な装いだ。
「それから、こちらをご覧になって」
そう言って差し出された本を手に取る。
既にページは開かれていて、そこにはなんと交わる男女のイラストが載っていた。
「こ、こ、これは!?」
「貴女が行うのはこの体位よ」
「…ぐっ」
マリーが指さしたのは、仰向けになっている男性に跨る女性のイラストだった。
しかも説明付きだ…。
「挿入後、上下に動くことて快感を得られ…」
「ま、マリーさん! 読まなくて大丈夫です!」
「そう? 射精するまでは、なるべくギルバート殿下の負担にならないように気をつけて欲しいのだけど…」
「が、頑張ります…」
「それじゃ、移動しましょう。時間がないわ」
マリーが隣の部屋へと続くドアに手をかける。
あぁ…ドキドキする!
シェリーは期待を胸にその扉の先を見つめた。