第4章 孤児×王子
混乱しているシェリーを置いてけぼりにしたまま、聖女と名乗るマリー達は勝手に話を進めていく。
「実はね、少し前からこの王都で流行病で倒れる人が多くなってね。殆どの人は回復に向かっているのだけれど、第二王子だけは回復魔法が効かなくて…今も苦しんでいらっしゃるの」
どうやらその第二王子、ギルバート殿下というのは隣の部屋にいるらしく、病に侵されて倒れているようだ。
『王子』というワードにシェリーはドキッとしていた。
ひょっとして今回のお相手の…
「そこで、シェリーに治療して欲しいのよ。昔、貴女の力を視たことがあるのだけれど…、ギルバート殿下は貴女だけにしか治せないわ」
「マリー、前から言っていたけど本当なの?」
他の聖女が疑いの目を向ける。
「疑うなら貴女たちもシェリーの力を視てちょうだい」
マリー以外の聖女がシェリーに手をかざす。
んー、つまり今回は…
ギルバート殿下が不治の病?にかかっていて
それを治せるのは私しかいなくて
回復したギルバート殿下に見初められ
見事、らぶらぶハッピーエンド
ってとこかしら。
王族がお相手なんて、ドキドキしちゃうわ。
ポっと顔を赤らめたシェリー。
そんなシェリーに手をかざしていた聖女二人は驚いたように声をあげる。
「ほ、本当にマリーの言っていたとおりだわ!」
「相手と交わり、精液と病を同時に吸収することで浄化する能力…! 本当にこんな力が存在するなんて!」
…え?
何か聞き間違えたかしら…?
シェリーはもう一度教えて欲しいと聖女に頼むと、聞き間違いではないことが判明する。
「シェリー、貴女はギルバート殿下と今すぐ交わるのよ!そして射精させ、治療を行うのです!」
「………嘘でしょう」