第4章 孤児×王子
朝早く起きて、小さな子たちの面倒を見ながら朝食を作り、畑仕事や内職に精を出す。
食事は一日二回。
貧しい孤児院では食べられるだけありがたい状況だ。
それが当たり前で、これからも変わらないのだろうと思っていた時、シェリーの人生を大きく変える出来事が起こる。
「シェリーさん、ですね?」
突然孤児院に現れたのは、老齢の司祭様だった。
高貴な方が来訪され、皆が驚いてしまう。
そして訳がわからぬまま馬車に乗せられると、シェリーは王都へと連れてこられていた。
初めて見るお城。
司祭は「到着してから説明する」の一点張りで何も話してくれなかった。
初めて訪れる城に、シェリーはキョロキョロしてしまう。
そして通された部屋は豪華な調度品が揃えられた応接室だった。
「シェリー! 来てくれたのね!」
部屋には三人の女性がおり、うち一人が嬉しそうな声をあげる。
知り合いだろうか?と首を傾げていると、案内してくれた人は去り、部屋には四人だけが残される。
「あ、いきなりごめんなさい、シェリー。会ったのはずっと前だもの。覚えてないわよね」
マリーと名乗った女性。
どこかで会ったことがあるらしいが、シェリーの記憶には無かった。
三人の女性は全員同じ白い服を着ており、年齢はシェリーより十以上は上だろう。
「驚かせてしまったわね。私たち、聖女よ」
突然の聖女宣言に、シェリーはハァ?と呟いてしまった。