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萌えシチュに今日もトロける【R18】

第3章 伯爵家の令嬢×兄の友人




食事もお風呂もシェリーはぼんやりとしてしまった。

あの魔法書のことが頭から離れないからだ。

しかし、家族は誰一人としてシェリーを問い詰めようとはしなかった。

恋人にフラれてショックを受けている、と勘違いしているからだ。


そっとしておきましょう。

それが家族や侍女たちの総意だった――




***




「それでは、シェリー様。おやすみなさいませ」


専属の侍女が下がり、部屋には静けさが訪れる。
部屋を照らすのは月明かりのみ。
もう寝る時間だ。

しかし、シェリーは魔法書が気になって仕方なかった。


新しいページを開いたら、きっと『伯爵家の令嬢×兄の友人』のストーリーが始まるだろう。
読みたい、もとい体験したい気持ちと、それを止める気持ちがせめぎあう。


一日に2回も?
しかも相手は違う人だ。
そんなに何人も相手にするなんて、私は痴女なの?


何度も同じ考えがぐるぐると巡る。


そして出した答えは――


「そうね、私は痴女だわ」


よく考えてみれば、あの体験をしたのは私であって私ではない。
相手のハウロという男性は私の名前を呼んでいたが、実際は本当の彼女の名前を呼んでいただろう。

『現実』の私は処女のままだ。

つまり、あの魔法書が見せてくれるのは夢であって、現実ではない。


「なら、好きなだけ体験しても良いのでは?」


あっさりと意思は固まった。
引き出しから魔法書を取り出す。
それは淡く輝いていた。まるで読んで欲しいと訴えるように。


「『伯爵家の令嬢×兄の友人』か。これも定番シチュエーションね。楽しみだわ」


ベッドに横になると、ドキドキしながら指定ページをめくる。

すると魔法書から光が溢れ、またしてもシェリーは魔法書のストーリーの世界へ飲み込まれていった―――



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