第2章 パン屋の娘×幼馴染(貴族)
ベッドに腰掛け、再びキスをする。
濃厚な時間が二人を包み込む……と思ったのだが。
二人の緊張は頂点にまで達していた。
「な、なんか。俺の方が緊張し、してるかも」
「ハウロ……」
「今日、抜きすぎたのかな……」
「えっ?」
「い、いや、なんでもない!」
焦ったようにハウロが立ち上がる。
そしてテーブルの上に置いてある小さな木箱に気づいた。
「ハウロ、それは?」
「あ、あぁ。事前に頼んで用意してもらったんだ」
事前に?
つまり、ハウロは今日ここへ来るつもりだったのだ。
シェリーももちろんその気で来たが、余計恥ずかしくなる。
だが、ハウロは失言に気づいていないようで木箱をそっと開ける。そこには小瓶2つと丸いシールが入っていた。
「それは何?」
シェリーはシーツで身体を隠し、ハウロに近寄る。
小瓶には青い液体が入っていた。
「こ、このシールは避妊用ので…」
「ひ、避妊!?」
生々しいワードにシェリーは耳まで真っ赤になる。
「お、俺の腕とかに貼るんだけど、そしたらシールの色が消えるまで効果が続くらしい」
そう言ってハウロは腕にシールを貼り付ける。一瞬光ったそれは、早くも効果を発揮し始めたようだ。
たったシールひとつにドキドキしてしまう。
「で、こっちの小瓶の液体が…その、緊張を解すための薬で……」
ハウロの目が泳ぐ。
しかし、シェリーはそんなハウロに気づかず、小瓶を凝視していた。
このままだと緊張し続けるだけで日が暮れてしまいそうだ。
「そんな素敵な薬があるなら、是非いただきたいわ」
シェリーはそう呟いていた。