第2章 パン屋の娘×幼馴染(貴族)
「ごゆっくりどうぞ」
ついに来てしまった休憩宿――
受付は顔の見えない配慮がされていた。
鍵を受け取り、階段を上がる。
廊下には広く間隔を空けてドアが五つ。最奥が今回利用する部屋らしい。
ぎこちない様子で歩く二人は、傍から見てとても初々しいことだろう。
目的の部屋に向かう途中、とある部屋から聞こえた喘ぎ声に固まってしまう。
「っ、シェリー」
手を引かれ、足早に部屋へと駆け込む。
緊張で胸が爆発しそうだ。
部屋は広く、大きなベッドが鎮座している。
その光景にシェリーは息を飲んでいた。
「ここまで来たら…もう嫌だって言っても止められないよ」
ぎゅっと抱きしめられ、シェリーは小さく頷く。
そっと唇が重ねられ、シェリーはピクンと肩を震わせた。
キスは初めてではない。
ハウロと何度もしたのに、緊張が跳ね上がる。
唇を割って舌が歯列をなぞる。
早くも息が上がりそうだった。
腰のリボンがほどかれ、背中のボタンを外されると、パサっと音をたてて服が足元に落ちる。
簡単に脱がせられるのもこのワンピースのポイントだった。もちろん、ブラウスもセットで落ちている。
シェリーはあっという間に下着姿になっていた。
「……シェリー」
吐息混じりに名前を呼ばれ、ゾクゾクする。
「…緊張、してる?」
「うん。ごめん、ハウロ」
「謝らないで。俺も…だから」
かぁっと顔が赤くなる。
初めて同士、ぎこちなくベッドへと移動した。