第8章 私のストーリー
あれから無事にホラーハウスを脱出した二人は馬車に揺られていた。
「お兄様…これからどこへ?」
まだ熱の残る身体で、シェリーはシルフォードを見上げる。
いつもは何度もイかせてくれるのに、今日はまだ1回だけだ。身体が疼いてしょうがない。
「帰るんだよ、シェリー」
「帰る…?」
「そうだ」
帰ったら家族や使用人がいて、続きなんてできそうにない。
がっかりしてしまったシェリーをシルフォードは優しく抱きしめると、頬にキスをした。
「シェリー、足りないんだろ。でも、もう少し我慢して」
「お兄様…」
シルフォードが何を言いたいかわからなかった。
それでもシェリーは頷くしかない。
やがて馬車は二人の家に到着する。
これでただの兄と妹に戻るのだと思ったが、何故かシルフォードはシェリーの腰に手を回したまま離そうとしない。
そしてそのまま応接室に向かうと、未だに父と母と姉がお茶を飲んでいた。
「あら、思ったより早かったのね」
ミレーナが二人を見て嬉しそうに微笑む。
何があったか知られている気がして、シェリーは口をパクパクさせるだけだった。
シルフォードはミレーナに小さく頷くと、父に向き直る。
「父上、母上。温室を使用させていただきます」
温室?
シェリーは首を傾げる。
温室を使用するのに両親の許可は必要ない。
一体どういう意味なのか聞こうとしたが、何故か父が頬を染め
「わかった。しっかり励めよ」
と何かを激励した。
「もちろんです、父上。行こう、シェリー」
「えっ? えっ?」
シェリーは混乱したまま、温室に連れてこられていた。
するとそこには、見慣れないベッドが鎮座しており、ますますシェリーは混乱する。
「お、お兄様?」
「シェリー。今は俺だけを見てほしい」
「…お兄様…」