第8章 私のストーリー
『愛し合う二人が天の星を掴む時、新たな道が輝くだろう』
シェリーはうーんと首を傾げる。
全く意味がわからなかった。
「お兄様…意味わかりますか?」
「あぁ。簡単すぎて困ったな」
…なんと!
あまりの早さに感動してしまう。
「お兄様さすがです。さっそくどうしたらいいか教えてもらえますか?」
「そうだな。まずは『愛し合う二人』の意味はわかるだろ。先程も確認があったし、そのままの意味だ」
「そ、そうですか…」
思わずドキっとしてしまう。
そのままの意味ということは…
「そして『天の星を掴む時』とは、簡単に言えば気持ちよくなるということだ」
「……気持ちよく、ですか?」
「そうだ。気持ちよくなる事を天にも登るようなと言うだろ」
真顔で解説するシルフォード。
まさか、まさか……と有り得ない考えが頭を巡る。
「さらに『新たな道が輝くだろう』は、このドアにあるふたつの魔法石のことだろう。今は発色していないが、おそらく二人が気持ちよくなった瞬間に魔法石が感知して光り、ふたつが輝くことでドアが開くのだろう」
「そ、そんな……」
急に心臓がバクバクと音を立てる。
「気持ちよくって…な、何を…」
恐る恐るシルフォードを見上げる。
少し薄暗いが、いつもと変わらぬ笑顔でこう言った。
「決まっているだろ、シェリー。ちゃんと可愛がってあげるから怖がる必要なんてない」
「……っ!」
そっと頬に手が添えられる。
触れた箇所が一気に熱を持つのがわかった。
「お兄様…」
狭い場所のため、すぐに壁に追い詰められる。
足が何かにぶつかって確認すれば、そこには革張りの小さな椅子が置かれていた。
それに床にはふかふかのカーペットが敷かれている。
「シェリー、よそ見はいけないな」
「…んっ!」
あごを持ち上げられると、すぐさま唇が重なる。
シェリーは目を見開いていた。
う、嘘でしょう……!?