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萌えシチュに今日もトロける【R18】

第8章 私のストーリー







「お嬢様、おやすみなさいませ」



侍女が一礼して部屋を後にする。
パタンとドアが閉まる音がして、部屋に沈黙が訪れた。


あの女は寝たフリをしろと言ったが、全く意味がわからなかった。

そっと魔法書の目次を開いてみる。
そこにはシェリーが追記したストーリーのページ番号が表示されていた。

もし女の説明が本当であれば、シェリー自身のオリジナルストーリーを追加すれば他の人が書いたページ番号も追加されるのだろう。


自分で考えるストーリーには限界がある。
となれば、やはり他の人が書いたストーリーはとても気になるものだった。


「とりあえず……あの人の言ったとおり、寝たフリ?をしてみようかしら」


それで何かが起こるのだろう。
半信半疑だが、ちょっと期待をしていた。


シェリーはふかふかの布団を被るとゆっくり目を閉じる。
ちゃっかりベビードールを身につけ、これから起こることにワクワクしていた。


しかし――


聞こえてくるのは時計の針の音だけ。

何も起こる気配がない。

目を開けたら寝たフリではなくなってしまうのだろうと思い、正確な時間は確認できていないが、結構な時間が経っていた。


あの女の人は何がしたかったのだろうか……


いい加減寝てしまいそうでウトウトし始めたとき、カチャッと音がした。


一瞬で眠気が吹っ飛び、声を出しそうになるのを我慢する。


キィ、と音がして、パタンと音がする。
扉を開けて閉めた音で間違いないだろう。


シェリーは不自然にならないように目を閉じたまま、寝たフリを続けた。


入ってきたのは一人らしく、静かな足音がゆっくりとベッドに近寄ってくる。

オイルランタンを手にしていたのだろうか、明かりが枕元のテーブルに置かれた音がした。


そして聞こえてきた声にシェリーは驚く。



「愛しいシェリー。今日も可愛いね」



それはまさしく、兄シルフォードの声だった――


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