第8章 私のストーリー
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次の日、シェリーはぐったりとしていた。
自分で追記した『団長』とのストーリーだったが、より実力を発揮した団長の体力はすさまじく、壊れるんじゃないかと思うほど激しかったのだ。
しかし、あの逞しく大きな手に腰を掴まれると、ついつい激しくされることを期待してしまう。
最早ヒロインも相当なビッチと言えよう……。
そんなリアルな体験のせいで現実のシェリーも少し疲れていた。
またしても無意識に下着を脱ぎ捨て、シーツには今まで以上に大きな染みを作っていた。一瞬、漏らしてしまったのではと焦った程だ。
侍女が起こしに来るまでに少し乾いたが、それでも証拠は消しきれなかった。
特に侍女が何も言ってこないことにほっとしたが、やっぱり緊張してしまう。
「シェリー」
不意に廊下で呼び止められ、振り向く。
そこには心配そうにシェリーを見つめる兄のシルフォードがいた。
「お兄様。どうかなさいました?」
「今日のシェリーもなんだか疲れている様だったからね。気になって」
そう言ってシルフォードはシェリーの頬に手を添える。それだけでシェリーはピクン!と反応してしまい、触れられたところに熱が集まる。
「シェリー…?」
「あ、な、何でもありません」
思わず耳まで真っ赤になる。
いくら異性とはいえ、兄にそんな反応をしてしまうとは…。
シェリーの身体はかなり重症らしい。
「やっぱり顔色が悪い。今からどこに行こうとしてたの?」
「……っ、図書…室です」
口から漏れる息に熱がこもる。
そんな痴態を兄に晒すなんて、とてもじゃないけど嫌だった。
それなのに、何故か逃げることができない。
兄に頬を撫でられて興奮するなんて…私ってば本当に痴女だわ!!