第8章 私のストーリー
「はぁっ…はぁ…」
まただ、とシェリーは思う。
自分で追加したストーリー。
それを体験して目を覚ますと、シェリーの身体は熱くてたまらない。
またしても下着は脱ぎ捨てられていた。
喉がカラカラになっており、声は少しかすれている。
もしかしたら現実の自分も喘いでいたかもしれないと思うと不安になる。
使用人たちに聞かれていたら恥ずかしい…。
シェリーは顔を真っ赤にしながら水を飲み、乾いて火照った身体を潤す。
これ以上は気をつけないといけない…そう思いつつも、辞められる自信がなかった。
夢か現実かわからないそのストーリーにシェリーはどっぷりハマっていたのだ。
***
それから数日後、シェリーは『王子』のストーリーに追記していた。
結局魔法書を手放すことが出来ず、毎晩濃厚な体験を繰り返していた。
驚いたことに、自分が追加したストーリーでなくても、現実に戻ってきた時に感じる熱は増していた。
身体が疼いて仕方がない状態だった。
シェリーは皆が寝静まった夜、ウキウキしながらページを捲る。それは『王子』との甘いストーリーだ。
『王子』であるギルバートと永遠の紋を刻んだ二人。もう他の相手とは一生交わることはできない。そんな極限の状況でありながら、二人は大満足だった。
「僕だけの聖女、少し疲れちゃったな」
庭園での散歩中、そんな風に囁かれた瞬間、愛し合う時間が始まる。シェリーと交わる事で元気になる…というのは言い訳で、ギルバートはとにかく所構わずシェリーを求めた。
愛読書である本に記載された交わり方の体位は全て試し、二人はお気に入りを見つけた。
そして城の廊下や食堂など、シェリーは求められるがまま応じていた。
「したいな、僕だけの聖女」
潤んだ瞳で見つめられた瞬間、シェリーはぐっしょりと濡らしてしまう。
二人を見かけた侍女たちは、二人の仲が良いことに微笑むとすぐに退散する。もう城内での暗黙のルールとなっていた。
まだ二人だけの時間を過ごしたいというギルバートの願いもあって、常に避妊シールを持ち歩くのもルールの一つだ。
そして突き上げられ、愛液を溢れさせたシェリーは考える。
ショタもいいけど、大人になったギルにも抱かれたい。なんて悩ましいの!と。