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萌えシチュに今日もトロける【R18】

第2章 パン屋の娘×幼馴染(貴族)




少し会話をして気づいた事がある。


ある程度ストーリーが決まっているとはいえ、シェリーにはそこそこの自由があった。
ただし、ストーリーを変えるほどの行動ができないのだ。


試しに「今日はいい天気ね」と当たり障りないことは言えたが、「もう帰ろかしら」と言おうとしたら声が出なくなったかのように口が動かなかった。


なので、ヒロインとはいえ、ストーリーの範囲内であれば自分らしく楽しむことができるらしい。


さすが魔法書!
こんなにリアルで他人のストーリーが体験できるなんて、すごい!


感動しているシェリーに気づいていないのか、ハウロという青年はニコニコしている。


どうしてこんなに嬉しそうなのかと思った時、不意に脳内に『設定』が流れてきた。


ハウロとは幼馴染
ハウロは男爵家の長男で、身分差があるものの、ずっと仲良し
三ヶ月前に告白されて付き合うことになった
今日は久しぶりのデート


……なるほど。
便利すぎるにも程があるわ。


「シェリー、行こう。今日は君が行きたがっていたお店を予約してあるんだ」


そう言ってシェリーの腰に手を添えるハウロ。
自然なエスコートに胸がキュンとしてしまう。



あれ…!?
確かにハウロはイケメンだけど、私ってそんなに惚れっぽかったっけ!?


ドキドキが止まらない。
ずっと見ていたくなるハウロの嬉しそうな表情。


ううん、違う。
私はずっと好きだった。
子供の頃から優しくて素敵なハウロが大好きなのだ。





そう、シェリーは心も”ヒロイン”になっていた―――


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