第5章 抱きしめる意味
そんな私の視線に気が付いたのか、夏油先輩は「これも良かったら飲んで」とミルクティーを私の前へと差し出した。
「ありがとうございます」
そう言えば、夏油先輩っていつも私にミルクティー渡してくれるな。
もしかした私がミルクティーが一番好きだって知ってるのかな?そんなわけ無いよね。夏油先輩はいつもブラックコーヒーか緑茶しか飲んで無いから先輩がブラックコーヒー好きなのはどう見ても一目瞭然だが、私は必ずしもミルクティーばかりを買っているわけじゃない。
りんごジュースの時もあるし、暑い日なんかは炭酸だって飲む。だから多分偶然だろうな。よくよく考えたらコーヒーと紅茶って隣に並んで売ってる事多い気がするし。
映画が始まり持って来たスナック菓子をテーブルに広げる。ミルクティーのお礼にと持ってきたりんごジュースを夏油先輩の目の前にそっと置けば、夏油先輩はニッコリと笑みを作ってブラックコーヒーではなく私の持って来たりんごジュースを飲んでくれた。