第5章 抱きしめる意味
「…良いんですか?迷惑じゃないですか?」
「迷惑なわけないよ」
「…本当ですか?夏油先輩優しいから…無理してません?」
「していないよ、むしろ私を頼ってくれて嬉しいな。言っただろう?いつでも待ってるって」
フワフワと浮いていた呪霊が再び動き出し、山の上へと飛んで行く。多分高専へと戻っているのだろう。冷たい風が私の髪を揺らし私の身体が落ちないようにと夏油先輩がいつの間にか支えてくれている。
「本当に本当ですか?」
「本当に本当だよ」
「もし嫌なら断って下さいね、任務後で疲れてるだろうし…」
そもそも任務後の夏油先輩に、こうして夜の散歩に連れ出してもらい慰めてもらっている時点でアウトなのではないだろうか。そこそこ迷惑をかけている自信がある。
「大丈夫、もし疲れていたらちゃんとそう言うさ。だからおいで、部屋。なんなら泊まって行く?」
「えぇ!?」
「そんなに驚く事かい?前回は泊まったじゃないか」
それはそうだけど…