第1章 無茶な恋
ドカッと乱暴な音を響かせて隣に人が座る。
そちらへチラリと視線を向ければそこには夕食のトレーを持った五条先輩の姿。
「私達も良いかな?」
「あ!夏油さん五条さんお疲れ様です!」
「お疲れ様です」「お疲れ様です!」
「お疲れ様、3人とも」
無言の五条先輩に続き夏油先輩が雄君の隣へと座った。
五条先輩が自分の隣に座ってくれた事が嬉しくて、思わずゆるんでしまいそうになる顔を隠すようにしてコップを口へと付け水を流し込めば、慌てて飲んだからか、思わずゴホゴホと咳き込んだ私の背中を隣に座っていた七ちゃんがさすってくれる。
「慌てて飲むからそうなるんですよ」
「うぅ、ごめん七ちゃん」
「ガキかよ」
呆れたように私を見てくる五条先輩に「えへへ」と笑って見せれば、先輩はやっぱり呆れたように私を見下ろした。
ここにいる誰が思うだろうか。こうして笑っている私と、呆れたように溜息を吐き出す五条先輩がセフレであるなんて。
本当は付き合いたい。みんなの前で堂々とイチャイチャだってしたいし、五条先輩が彼氏だって言えるようなそんな存在になりたい。
だけど私と五条先輩はそんな綺麗な関係なんかじゃなくて、ここにいる人達が知ったら、きっとドン引きをするようなそんな荒んだ関係だ。