第4章 感謝の気持ち
五条先輩の背中が小さくなり、そして目の前から消えていく。
痛い
痛い
苦しい
苦しい
息を呑むたび胸が苦しくて、どうにかなってしまいそうだ。あと何度こんな思いをするのだろう…あと何度、五条先輩のこの姿を見送らなければいけないのだろう…
手先が震えて痺れる。息が浅くなって喉が痛い。
その瞬間、夏油先輩が私の目の前に立ったのが分かった。
それにピクリと肩を揺らし、ゆっくりと見上げれば…目の前の夏油先輩は眉を歪ませそしてその切長な瞳を細めて私を見下ろす。
そしてスルリと私の右手を優しく握りしめ、ぎゅっと力を込めた。
「…夏油先輩には…みっともない姿を見せてばかりですね」
「そんな事ないよ」
「先輩、私…大丈夫です。慣れてますから…」
「…………」
「…だから…大丈夫です…」