第4章 感謝の気持ち
「………っ」
喉の手前まで出そうになった言葉をギリギリの所で飲み込む。
いつもこうだ、いつだって…こうだ。
私はいつも置いていかれて、そしてまるで何でもないみたいに視界にすら入れてもらえない。
例え何度キスを交わそうと、例え何度身体を重ねようと。私は五条先輩の何モノにも慣れない。
あぁ、違うか。セフレにはなれているのか…
苦しくて、どうにかなってしまいそうで、心臓が潰れそうで…それでもその関係は変わる事などないのだ。
先輩が他の女性の所へ行くのを…私はただ見ることしか出来ない。
無力で曖昧で…そして何でもないそんな存在。
それなのに、五条悟という人間を私は嫌いになどなれない。好きじゃ無くなればどんなに楽だろうと思うはずなのに…彼を好きでいる事を辞められない。
どうしようもなく好きで…
そしてどうしようもないほどに焦がれてる…
会えなければ寂しくて、会えれば信じられないほどに嬉しくて…
ただひたすらに、五条先輩が好きなのだ。