第4章 感謝の気持ち
小さな声が響いた。
震えていて、そして微かな声だったと思う。
情けなくて、みっともなくて、そしてどうしようないくらいに弱々しかった。
「大丈夫じゃないだろう」
「……そんなこと…」
「だって今にも、泣き出しそうじゃないか」
その瞬間ポタリと床へとシミが出来ていく。ぽたりぽたりと、小さくて冷たい雫がシミとなり…そして落ちていく。
夏油先輩の視線が私を真っ直ぐに見下ろし、視界に閉じ込める。その瞳は心配気で…どこまでも優しい。
「…どうして…いつも、こんなに優しくしてくれるんです…か」
私の手を握っていた夏油先輩の掌に力がこもると、その掌から熱が伝わり、そして私に優しく穏やかな声が落ちた。
「私は君に、優しくありたいんだ」
「……どうし…て」
「…どうしてだと思う?私は君が辛いなら支えたいし、君が涙をこぼすならそれを掬いたいって思ってる」
「…………げと、せんぱ…い」
「だから、今はただ…」