第4章 感謝の気持ち
「お前ら最近仲良いね」
その五条先輩の言葉に思わず肩を揺らした。だって…私達が仲良くなったキッカケがあるのだとしたら、それは間違いなくあの日夏油先輩の部屋に行った日からだ。
それを五条先輩に知られるわけにはいかない。だって…私が酷くみっともなくて…そして惨めだった事など…五条先輩には知られたくないからだ。
「そうかい?まぁ私は元々後輩を可愛がるタイプだからね」
「傑の部屋に居たのかよ」
「みかんのお裾分けをしてたんだ。七海と灰原の分もね」
「へぇ、そう」
五条先輩の声色は戻る事なく、むしろ眉間に皺がよる。何故五条先輩がこんなにも機嫌を悪くするのか。この前だってそうだ。やっぱりこんなのまるで…嫉妬みたいじゃないか。
勘違いしそうになる。
五条先輩からしたら、ただ自分のオモチャを取られたみたいで不機嫌になっているだけなんだろうが…
それなのに…そんな態度を見たら勘違いしてしまう。
口を開こうともせず黙りとしている私に、五条先輩の視線が突き刺さる。そして五条先輩が口を開こうとした瞬間、ブーブーブーと廊下には携帯の着信音が響き渡った。