第4章 感謝の気持ち
「あれ?夏油先輩も何処か行くんですか?」
私の後ろからは靴を履きドアを閉める夏油先輩の姿。
「うん、パンを食べたらコーヒー飲みたくなってしまってね」
「あぁ分かります!私もアイス食べたから何かホットの飲み物でも買いに行こうかな」
「じゃあ一緒に行こうか、先輩が買ってあげよう」
「いいんですか?なんか私さっきから夏油先輩に餌付けされてるみたいですね」
「ははっ、バレちゃったか。仲良くなるためにはやはり餌付けかなと思ってね」
「何ですかそれ〜」
笑い合いながら寮の廊下を歩き始めた時だった。夏油先輩がハッとしたように目の前へと視線を移し、そして私もソレにワンテンポ遅れて視線を前へと移す。
「何してんの?」
いつもより少しだけ低い声。何処か不機嫌そうな色を含むその声は私の背筋を凍らせるには十分で、夏油先輩を見てから、そっと私へと視線を向けた。
「悟、任務終わったのかい?今日は深夜までかかるって言ってなかった?」
そこにいたのは五条先輩。五条先輩のあまりのオーラに動揺する私とは違い、夏油先輩は特段気にした様子もなく普通に五条先輩へと声をかける。
いや、そうだよ。何を動揺する事があるんだ。別に私が夏油先輩の部屋にいたからといって何かあったわけじゃないんだから。ただアイス食べてただけだし。