第4章 感謝の気持ち
学生寮の食事の時間も一応決まってはいるが、まぁほとんど任務の関係でみんなバラバラになってしまうことが多いため、一定の時間を過ぎると寮の冷蔵庫から自分の食事を取り出し温めるというシステムだ。
夏油先輩はガサガサと袋からパンを取り出すと、それをテーブルへと並べていく。
「あ、一番のオススメはこれです!中にビーフシチューが入ってるんですよ!」
「へぇ、ビーフシチューのパンか。初めて食べるな」
包みからパンを取り出した夏油先輩は、大きな口を開けてそれにパクリとかじり付いた。
「うん、凄く美味しいねこれ」
「ですよね!あ、こっちのくるみが入ったパンも美味しいですよ!」
「じゃあ次はそれを食べてみようかな。何だかパン屋のパンなんて久しぶりに食べた気がするよ」
「分かります。普段任務が忙しいとコンビニばっかりですもんね。やっぱコンビニとパン屋さんのパンじゃ美味しさが違いますよねー」
「今日は3人で遊びに行ってたのかい?」
アイスを口へと運ぶ私に、夏油先輩がパンにかじりつきながら聞いてくる。夏油先輩は本当にお腹が空いていたのだろうあっという間にビーフシチューのパンを平らげて、くるみのパンへと手を伸ばした。