第4章 感謝の気持ち
「それじゃあ私はそろそろ行きますね!」
軽くお辞儀をしてその場を離れようとした時だった。「あ、待って」という夏油先輩の言葉に足を止める。
「今私の部屋に大量のみかんがあるんだ、この前任務先で貰ってね。悟や硝子にはあげたんだけどまだ沢山あって、良かったら持って行かないかい?」
「え、良いんですか?」
「持っていってくれると助かるよ。2人にはもう飽きたからいらないと言われて困っていたんだ。私1人じゃ食べ切れなくてね」
「欲しいです!みかん大好きです」
「それなら良かった。おいで、好きなだけ持っていって構わないから」
夏油先輩はポケットから鍵を取り出しそれを差し込むと、古びたドアを開けて私を室内へと招き入れた。
部屋へと入れば、ふわりと香ってくるのはやはりあの夏油先輩の落ち着く香りだ。
うん、やっぱり私この香り好きだなぁ
夏油先輩は机へと私が買ってきたパンを置くと何処からか取り出してきた透明のビニール袋を手渡してくれる。
「はい、これに入れな」
「ありがとうございます」
夏油先輩の部屋の片隅には大きな段ボール箱が置かれていて、そこには五条先輩と硝子先輩にあげたと言っていたが、まだまだ大量に入っているみかんの山。