第4章 感謝の気持ち
「だけど、今度からは本当にお礼は大丈夫だよ。私がやりたくてやった事なんだから。逆に気を使わせてしまってすまなかったね」
いや、本当に夏油先輩って神か何かなのだろうか。どこまで優しくて相手思いなんだろう。
「私もやりたくてやったんですよ、だから気なんて使ってません!今日七ちゃんと雄君とそこのパン屋さんに行って凄く美味しかったから、そしたら夏油先輩にも買って行きたいなぁって思ったんです」
そうだ、私は別に気を使ったわけでも仕方なく買ってきたわけでもない。
帰り際、綺麗に並ぶ美味しいパン達を見てふと思い付いたのは夏油先輩の事だった。もちろんお礼がしたかったのは嘘ではないが「あ、このパン夏油先輩に買って行こう」と、そうふと思ったのだ。
そんな私の言葉に、夏油先輩は切長な瞳を少しばかり大きくすると次の瞬間には「ふっ」と笑みを作りその端正で素敵な笑顔で私を見下ろす。
「ありがとう、嬉しいよ」
「ふふっ、良かったです。好みがわからなかったので色々買ってきました。どれも美味しかったのでオススメです!」
「それは楽しみだね、丁度お腹が減っていたんだ」