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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第29章 本当は






「おっと、私はそろそろ行こうかな。上に呼ばれているんだ」



「上の呼び出しに応じたりするんですね」



「ははっ、一応ね。それに、さっきから君を待っている子がいるようだしね」



「…待っている?」




その傑先輩の言葉が聞こえてすぐに「出て来て大丈夫だよ」九十九さんの声が響いて、ビクリと体を揺らす。けれどこのまま隠れているわけにもいかず、恐る恐る足を一歩前へと踏み出した。



ここで私が話を聞いていたこと、バレていたんだ…




けれど傑先輩はどうやらそうではなかったようで、物陰から現れた私を見るなり驚いたようにその切長な瞳を見開いた。




多分、普段の傑先輩ならば九十九さん同様私がここにいたことに気が付いたはずだ。けれど、私を視界に捉えた傑先輩はここに私がいるなど想像もしていなかったのだろう。心底驚いたような表情をした後、眉を垂れ下げ小さく微笑んだ。




その表情に、心臓が握り潰されたみたいな感覚になる。




「なるほど、夏油君のタイプはこういう子か」




私が傑先輩の目の前で立ち止まると、椅子から立ち上がった九十九さんはニヤリと微笑みひらりと手を振った。




「それじゃあまた、何処かで会おう。五条君にもよろしく伝えておいてくれ」




「はい、分かりました」




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