第28章 染まりゆく
掌の上で、パチパチと線香花火のように小さな爆発が繰り返されている。
「はぁぁぁー、ぜんっぜんダメだぁー」
手に握りしめているのは微量の砂。その中には砂利や小石も含まれている。けれど砂よりも一回りも二回りも大きなそれらは、小さな爆発を繰り返している砂とは違い掌に残ったまま。
「私、呪力調整下手なのかな…」
以前、五条先輩の消しゴムがぶつかりシャーペンが弾いたのを見て気が付いたことがある。
私は物質に呪力を込めそれらを爆発させる術式なのだけれど、不便なことにいくつかの物を手にした場合はより小さな事で物質が爆発する。自動的にだ。
今までそれに何の疑問も持っていなくて、なんならより大きな物を手にすれば良いだけだなどと考えていた。でも…五条先輩の細かな呪力調整を見て…あぁ、私が今までにやっていたことは底辺に過ぎないのだと気付かされた。
もちろん五条先輩とは術式もレベルも何もかもが違うのは分かっている。私には六眼だってない。けれど、あの日の先輩の特訓を見て自分の術式の使い方をきっと私はまるで理解していなかったのじゃないかと思え始めたのだ。