第28章 染まりゆく
気が付いた時には辺りは真っ暗だった。夕飯までの間少し横になろうと思っていたはずなのに、どうやら熟睡してしまっていたらしい。
「…今何時」
ベッドサイドに置いていた携帯を手に取れば、その光がパァっと顔面を照らし思わず目を細める。
「え、うそ、もう日付超えてるじゃん」
完全に寝過ぎてしまった。夜ご飯も食べ損ねた。けれど今から食堂に行ってご飯を温め一人で食べるほどの元気はない。
「…傑先輩帰って来たかな」
のそりと体を起こして床に落ちていたペットボトルの水を一口飲み下せば、そのままゆっくりと立ち上がりドアの方向へと向かう。
サンダルをつっかけて、ボサボサになった頭を手ぐしで整えれば向かう先は傑先輩の部屋。やっぱりどうしても硝子先輩の言葉が気がかりだった。
最近自分自身忙しくて己のことで精一杯だったこともあったのけれど、傑先輩に会いたいという気持ちはもちろんあって、それでも傑先輩の迷惑にならないようにと会いに行くのを控えていた。
けれど、今日は我慢せず会いに行こう。傑先輩の様子が心配だ。