第28章 染まりゆく
「着いたらすぐ硝子先輩のところ行こう」
「うん…そうする」
「家入さんに連絡入れておきますか」
ポケットから携帯を取り出した七ちゃんは硝子先輩へと電話をしてくれて、高専に着いて直ぐに硝子先輩が待機してくれている医務室へと雄ちゃんを七ちゃんと二人で担いで向かう。
ガラガラと医務室のドアを開ければ「おー、おかえりー」と硝子先輩がこちらへと振り返ったところで、私と七ちゃんに担がれている雄ちゃんを見てケラケラと笑った。
「肋骨二本か、このくらいなら直ぐに治るよ」
「家入さんいつもすみません」
「灰原は本当良く骨折るよね、骨折率ナンバーワンじゃない?」
「…しょうもないナンバーワンですね」
ベッドへと横になっている雄ちゃんの患部へと手を当てた硝子先輩の周りがぽわっと薄色の光に包まれる。それらはまるで怪我をした場所へと吸い込まれるようにして光がそっと入り込んでいくと「はい、治療完了」と言って雄ちゃんのお腹をぽんっと優しく叩いた。
「あとは部屋で安静にしてれば、明日までに良くなるよ」
「ありがとうございます!」