第27章 初めての
「変なのに絡まれる率高くね?」
「え、そんなこと無いよ」
「前もファミレスで変な女に絡まれてたろ」
あ、そう言えばこんなこともあったっけ。確かその時も五条先輩が助けてくれた。でも絡まれると言ったら先輩達の方がよっぽどじゃないだろうか。
「五条先輩と傑先輩には負けるよ」
「まぁ俺らモテモテだしな」
「側から見たらとんでもないヤンキーなのにね。五条先輩は頭白いし制服にサングラス。傑先輩はボンタンにピアス。二人ともやたらデカいしどっからどう見てもヤバイ人達」
まぁもちろん高専にいる皆んなは二人のこんな姿見慣れているが。そもそも高専の制服は個々によってデザインが違うという特殊パターンで、一般の学生からしたら元々目立つデザインだ。それなのにこの二人の顔面は、それをさらに際立たせるから尚のことだろう。
「お前、飯買いに来たの?」
「違うよ、何か甘いの食べようと思って」
そう言った私に五条先輩は肩に回していた腕を退けると、そのまま私の右手をぎゅっと掴み歩き出す。五条先輩にとってはこんなスキンシップ当たり前の範囲なのだろう。
「ならもう行く必要ねぇな」
「え?どういうこと?」
五条先輩に握られた右手がやけに熱い。けれどこれを払い退ければ私が意識してしまっていることがバレてしまいそうで…ただ引かれるがまま歩き出す。