第27章 初めての
寮のベットへと沈み込み、携帯をジッと見つめ続けてかれこれ1時間は経過したと思う。
うん、どうしよう…いや、どうしようとかそんなことを言っている場合ではない。
私が見つめる先の画面には、傑先輩へとメールを打つための画面が開かれているのにも関わらず、そこには文字一つ打てていないまっさらな画面。
「はぁ…どうしたら良いか分からない」
七ちゃんと雄ちゃんに話を聞いてもらい、やはり直ぐに傑先輩と仲直りしなくてはと思った私は、いつもならば三人教室でお喋りでもしている時間に急いで寮の部屋へと一人戻って来た。
メールで今までの己の行いを謝ろうか。いやいや、でもメールじゃきっと誠意が伝わらない。七ちゃんは傑先輩が悪いと言っていたけれど、元を正せば絶対に私が悪い。私が…悪いんだよ…
「…やっぱり電話の方が良いかな」
でも電話をする勇気がない。いつもならば傑先輩にメールを送ることも電話をすることも、躊躇などせずにすぐさま出来るのに…
今は…そう簡単に出来ない…
何故なら私達はここ数日顔を合わするどころかメールのやり取りすらしていないから。喧嘩をしてしばらくしたころ、傑先輩が一週間の京都へのヘルプに行ってしまってからただの一度も。