第3章 気付かないふり
携帯を開けばそれは七ちゃんからの着信で、慌ててそれに出れば向こう側からは少しだけ怒ったような七ちゃんの声が聞こえて来る。
『今どこにいるんですか?突然消えたら私も灰原も心配するでしょう』
いや、それはそうだ。ごもっともだ。うしろにいたはずの私が突然姿を消したのだ…七ちゃんが怒るのも無理はない
「ご、ごめんね!グラウンドにタオル忘れちゃって取りに行ってた!」
『…はぁ、それならそうと声をかけて下さい。高専内は安全だとしてもいきなり居なくなったら心配します』
「本当にごめん!着替えたらすぐに教室戻るね」
『はい、そうしてください。待ってますから』
「うん、じゃあ切るね!あとで!」
スマホを切りポケットへとしまえば、五条先輩は私の隣で不機嫌そうに腕を組み壁へともたれていた。
「五条先輩私戻らないと」
「七海のやつ、過保護すぎるだろ」
「そんなことないよ。そもそも先輩がいきなりこんなところに私を引っ張ってくるから」
「俺が悪いんだ?」
「まぁそういうことになりますね」