第27章 初めての
「でもアイツがそんなことくらいで、あそこまでキレるかぁ?」
「…回目だからね」
「え?何て?」
「これやるの私、三回目だからね…」
「いや、それは…うん。さすがのアイツでも怒るわ」
「夏油も恋人の前では形無しだな」
「ドンマイ、傑くん」
「その傑君呼び辞めてくれないか。腹立つから」
「え〜!悟こっわぁ〜い、八つ当たりされてるんだけど〜」
「自業自得な奴の八つ当たりはみっともないぞ、夏油」
「はぁ…もう分かったから二人とも、そのニヤニヤ顔を辞めてくれ」
ここまで落ち込んでいる夏油が心底珍しいのだろう。どこまでも楽しそうにニヤニヤ顔を隠すことなく曝け出している二人は「ぷぷっ」とわざとらしく目を見合わせ笑いながら夏油を茶化した。
はぁ、この二人に話したのが間違いだった。
そもそもこの二人に相談事をしてまともな回答が返って来たことなど未だかつてなかったし、相談?それって上手いのか?とでも言いそうな性格をしているこの二人にこんな話をした自分のミスだ。
「傑、とりあえずさっさと謝っとけ。それで万事解決!!」
「悟は人に謝ったことなんてないだろう…」
「あるっつーの!失礼な」
うん、自分で何とか解決策を考えよう。