第27章 初めての
「手を出すなと言われてたのに出してしまった」
「ん?傑がクズだって話?」
「むしろまだ手出してなかったんだ」
「違う、そうじゃなくて。祓ったんだよ」
「払った?」
「金?」
キョトンとしている二人へと夏油は昨日のことを思い出すようにしてゆっくりと口を開いた。金なわけがないだろう。そんなことを思いながら。
「違う、呪霊」
「どゆこと?」
「この前一緒の任務の時そろそろ一級昇格試験を受けさせて貰えるように頑張りたいから、任務中余程のことがない限り祓わないで見ててくれって言われたのに…祓ってしまったんだよ…」
「はぁ?」
「何、ヤバかったの?」
「いや、そういうわけではなかったんだけど…彼女が頬に呪霊の攻撃をかすったのを見た瞬間つい…ね、手を出してしまって」
「いや、過保護か!!」
「過保護だな」
五条はビシっと片手で傑へとツッコむポーズをしながら、硝子は呆れたように頬杖を突きながらため息を吐き出す。