第27章 初めての
「硝子はこういうの見ないと思ってた、キラキラした系のやつ嫌いそうじゃん。エナは好きそうだけど」
「五条、あんた私のこと何だと思ってんの?」
「え、やたらと冷めた女子高生」
「謝れ、クズ」
そんな二人の会話を横目で見ながら、手に持っていた漫画のおすすめページを五条先輩に「ほら、このシーンとか良いんだよ!」なんて言いながら見せるが、五条先輩はやっぱり理解出来ないように首を傾げるばかりだった。
「ふーん。これがねぇ、良いわけだ」
「そう、これが良いの」
硝子先輩の机へと漫画を戻しさっさと興味を失ったらしい五条先輩から視線を逸らすと、私はポケットの中で震えている携帯に気が付きそれを開く。
メッセージは雄ちゃんからだ。任務の時間が早まったという連絡。
「あ、私そろそろ行かないと。じゃあ硝子先輩ありがとうございました!」
そう言って手をひらひらと振る私に、目の前に座っていた硝子先輩はキョトンとして見せた。
ん?どうしたんだろうか。けれどそんな私の疑問をさらに深めるようにして隣にいた五条先輩も私をポカーンと見ている。
けれどそれもほんの一瞬で「任務?行ってらっしゃい」そう言って小さな笑みを見せてくれた硝子先輩へと再び手を振り私は三年生の教室を後にした。