第26章 極秘任務
だから余計に心配だと思った。
だからこそ、心配だと思った。
きっとこれから五条先輩は呪術界の頂点に立つことになる。
誰も辿り着けない特別な存在。
誰も近づくことの出来ない絶対的な存在に。
いくら追いつけないとしても、いくら隣に立つべき術師になれないとしても、私はあの背中をずっと追いかけ続けたいと思って術師をやってきた。今だってそうだ、それは変わらない。
けれど、現実は私の気持ちとは裏腹に五条先輩を手の届かない場所へと連れ去っていくのだ。
今…どんな気持ちでいるのかな…
五条先輩は大丈夫だろうか。
呪詛師の襲撃。理子ちゃんの命が庇われたこと。自身の生死による己の才能の開花。
きっと数時間で五条先輩にはとでもないほどの出来事が起きたはずだ。
普段はツンケンして見えても、優しい人だ。きっと…自身でも思うことがあるはずだ。それを考えると胸が軋む。
けれど私に五条先輩の元へと行く資格なんてない。
そんなものないんだ。
だからこんな物を買ったとして、何の意味も無いのに。