第26章 極秘任務
任務後携帯を開けば、傑先輩から昨日の件で呼び出されたから少し出てくるとそう連絡が入っていた。
予定通り午前中には任務を終えたのは良かったものの、昨日の私の大規模な爆発により私は私で担任からの呼び出しで説教を受けていて、傑先輩を待たせずに済んだのは良かったけれど、傑先輩にはこんな日にもまともな休みすらないのかと思うと正直呼び出した人が恨めしい。
私の方もあまりに長いお説教を終え「はぁ」と大きな溜息を吐き出しながら右手に握られている袋を見つめる。
そこには二つのビニール袋。
一つはもちろん傑先輩と私の分のお昼ご飯だ。中身は七ちゃんオススメのパン屋さんで買ってきたお惣菜パンと甘いパン。
そしてもう一つの袋にはクリームがたっぷり乗っかったパンと、明らかに甘そうなチョコレートがゴロゴロと練り込まれているパンの袋。
…これは、五条先輩の分。
パン屋に行った時に目に入ったとても甘そうなパン。つい思わず買ってしまった。五条先輩に、と。
昨日の傑先輩に聞いた話によれば、五条先輩も生死をさまようレベルの怪我を負いそこで反転術式を習得したと聞いた。
本当に凄い人だと思う。けれどそれとは反対に「硝子の反転術式の説明が全く分からん」などと言っていた五条先輩がそれを一瞬で習得してしまえるほどのことが起きたのかと思うと心配で堪らない気持ちにもなった。
今までだって人より頭何個分もずば抜けて凄い人だったはずだ。けれど反転術式を習得したことにより、さらに他とはかけ離れた術師としての能力を身に付けたことになる。