第26章 極秘任務
「じゃあさ、明日はお昼頃までゆっくりこの部屋で寝てていいからね」
「エナは任務じゃないのかい?」
「うん、私は任務だよ。でも午前中で終わると思うから傑先輩はこの部屋で待ってて。美味しいお昼ご飯買ってくるから一緒に食べよう」
私の言葉に、顔を埋めていた傑先輩がそっと持ち上げる。
「待っていて良いの?」
「うん、ゆっくり寝て待ってて」
そんな私の言葉に、少し考えるような素振りを見せた後こくりと頷き小さな笑みを作るとにこりと微笑んだ。
恐らく、私に迷惑がかからないだろうかなんて思っていたのかもしれない。そんなことないのに。これは私が望んだことだ。今は出来る限り傑先輩の側にいたい。
二人で見つめ合っていれば、傑先輩の黄金色の瞳の中に私が写っているのが微かに見える。
思わず無意識に疲れ切っているその切長な瞳の目元へと手を伸ばしスッと親指を当てれば、傑先輩は何かを感じとったのかそっと瞳を閉じた。
「エナ…ありがとう」
「うん」
それは私の台詞だよ。
何度だって私を救ってくれた傑先輩。いつもありがとうを言うのは私の方だった。