第26章 極秘任務
こうして触れ合い熱を分け合って、少しでも傑先輩の苦しさを埋められたら良い。
こちらを見下ろしている傑先輩の髪をサラリと撫で付け細めた瞳で見上げる。
大きく腕を広げ再びその身体を強く強く抱きしめれば、先輩は私の首元へと顔を埋め息を吸い込んだ。
ぎゅうっと私の気持ちが伝わるよう落ち着いたテンポで背中に手を当てる。トントンと一定のリズムを加えながら。
「先輩、明日の予定は?」
ゴロリと抱きしめあったまま二人で向き合う様にして横になると、傑先輩は私の首元へと顔を埋めたまま小さな声で話す。
「悟と私は明日は休むよう言われたよ、夜蛾先生が気を使って休みにしてくれたみたいだ」
「夜蛾先生って優しいよね」
「見た目はあんな感じなのにね、良い先生だよ」
夜蛾先生の顔を思い出しながら、きっと二人のことを思って無理矢理にでも補助監督へと相談し時間を開けさせたのだろうなと思うと、本当に生徒思いの良い先生だとそう思った。
傑先輩、五条先輩レベルの二人分の任務を他に回すなんて大変だったはずだ。それでも生徒の為にと行動できる先生は本当に優しい。