第3章 気付かないふり
まぁつまるところ私が五条先輩に初めて出会ったとき見惚れたのは間違いないが、決して一目惚れをした訳ではない。
あの雰囲気の中一目惚れなど出来たのだとしたら、それはそれは相当勇気のある人間か、心の強い人間だろう。
五条先輩を好きな理由はもちろんたくさんあるが、今考えればこれと言って決定的な何かがあったわけではなかった。
気が付けば好きになっていた。
気が付けば夢中になり五条先輩を目で追いかけていた。
私は五条先輩へと転がり、そして落ちたのだ。
まるで石ころが溝にすっぽりとハマったみたいに。それはそれは自然に恋に落ちた。
頭がボーッとする。激しく交わしたキスと、五条先輩の舌先の熱のせいだ。
五条先輩の手が私の下着を上からゆるゆると擦り、あっという間にじんわりと蜜が溢れてくるのが分かる。
それに先輩はクッと喉を鳴らすと「えっろい身体だよな」と弾むように呟きながらサングラスを外した。