第26章 極秘任務
談話室を通り過ぎ女子寮へと足を踏み入れる。私の部屋は二階にあって同じ階には誰も住んでいない。
生徒が少人数しかいないと言っても基本学年ごとに階が別れているのだが、私の学年は女子が一人のためこの階には私しかいないのだ。ちなみにもちろん硝子先輩も一人。
自分の部屋に着き鍵を差し込む為に繋いでいた手を離す。古びた建て付けのせいで押しながら鍵を差し込まないと開かないという何とも面倒なドアだから仕方ない。
「バレたら硝子辺りに殴られないだろうか」
「平気だよ」
どうやら女子寮に入ったことをかなり気にしているらしい傑先輩。けれど本来高専には男子寮と女子寮の行き来は禁止などというルールはない。
そもそも私なんか、暇さえあれば雄ちゃんか七ちゃんの部屋に入りびたっている。傑先輩の部屋にだって何度も行った。五条先輩の部屋にも…
そう考えれば、普通年頃の男女が寮内を行き来しているなど普通はあり得ないその状況に、そういえば元々呪術界に常識などないのだと思い出す。
「はい、どうぞ」
「お邪魔します」
男子寮も女子寮も間取りは全て同じだ。違う所と言えば、女子寮の方がいくらか壁や床材の色味が明るいくらいだ。